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協賛

第27回全国地名研究者大会が開催されました(当財団特別協賛)

開催期間 2008年5月24日

「若狭を中心とした日本海の交流」をテーマに第27回全国地名研究者大会が、平成20年5月24日に、全国各地からの研究者約200人と県内からの参加者約200人が出席し、小浜市文化会館で開催されました。(当財団特別協賛)
まず、民俗学者の谷川健一日本地名研究所所長が、「若狭八百比丘尼伝説の誕生」と題して基調講演を行い、江戸時代の郷土史家木崎愓窓(正敏)の著「拾椎雑話」を民俗学者柳田国男からもらったことを披露し、「この本に載っている「人魚話」に勢村(現小浜市)にいた高橋長者という富豪の娘が、こっそり人魚を食べてしまい数百年過ぎても年をとることがなかった、とあり、八百比丘尼とはその娘のことで、高橋長者は、若狭の漁民に縁の深かった(朝廷の食膳に奉仕し、御食国を管理する)膳臣で、のちの高橋朝臣が一族の間に伝えた伝承であることを推測する」と説きました。
次いで、地元講演では、金田久璋若狭路文化研究会会長が「若狭の語源をめぐって」、「語源説は日本書紀に基づく「稚桜」説他29説ある」と説明。
若狭以外に、沖縄県から北海道まで21の「若狭」地名を示し、中でも青森県十和田市深持字若狭に注目し、「戸数9戸の集落、狭い地域にあり、アイヌの末裔と言う人もいる。水の多いところを意味するアイヌ語「WAKKAISA」説を検討する価値があるのではないか」と発表しました。
また、小浜市世界遺産推進室の杉本泰俊調査役は、「小浜湊と海運」について、「小浜には平安時代に創建された重要文化財で明通寺の三重の塔、羽賀寺、妙楽寺、神宮寺の本堂や国指定の彫刻などが多く残されており、当時の仏教文化の繁栄ぶりが伺える。大陸との交易による繁栄のもとで残されてきた」と報告しました。
また、報告では、日本民俗学会会員の藤江久志氏は「八百比丘尼のあるいた道」を、敦賀短期大学の多仁照廣教授は「名子地名について」を、若狭地名研究会の永江秀雄会長は「鯖街道の歴史、民俗、地名」についてを、日本漂着学会の石井忠氏は「対馬海流の流れにのってー鐘崎海人たちの移動ー」について、それぞれの研究の内容を報告されました。
次にパネル討論では、敦賀短期大学の外岡慎一郎教授の司会で谷川健一氏をはじめ7人のパネラーが報告したことについて活発に議論があり、来場者は諸説を興味津々に聞き入っていました。
その後、「地名研究賞」と「日本の地名を詠む」短歌コンクール入賞者の表彰式が行われました。
アトラクションは、小浜市和久里地区に伝わる国指定無形民俗文化財の壬生狂言の中から「花盗人」が演じられました。
地名は、「大地に刻まれた人間の過去の索引」(谷川健一氏)と言う。
その地に暮らした先人たちの蓄積である地名文化の重要性を再認識する上で、たいへん盛り上がった全国大会でした。

開催場所

小浜市文化会館